パール劇場跡         
        近鉄電車から見て気になっていた廃墟。そこでみたものは・・・
                       所在地 :伊勢市一之木町
                   アクセス:伊勢市駅より歩5分
               

      子供の頃、大きくなったらスパイか探偵になろうと密かに思っていた。
      水に溶ける紙で出来たスパイ手帳も持っていたし    、
 
                       学校から帰ると付近の廃屋や空家や工事中の建物とか
                  
      下水路とかへ潜入して調査や諜報活動にあけくれていた。
                 
      だから近鉄電車に乗るたび
      どうしても気になっていたのだパール劇場。
      伊勢から名古屋方面に行く電車に乗ると、
      右手・北側の線路際にパール劇場の廃墟が見える。
      パール劇場だけが廃墟でなくその周辺の町並みの一角が
      すべて廃墟になっている。

      パール劇場はかつて、
                        伊勢でただ一軒の洋画専門の映画館であった。
                        その脇に伊勢シネマという怪しいピンク映画館があった。

      その後2号館を新たに建てて、
      パール1は邦画、パール2は洋画と言う風に
      事業拡大した筈なのだが、
      ぼくがアジアでフラフラしている間にいつのまにか廃墟になっていた。

      パール劇場でみたのは「小さな恋のメロディ」・「燃えよドラゴン」・
      「ビリィ、ザ、キッド」・「ビッグウエンズデイ」・【タクシードライバー」・・・・。
                        思い出せるのはそのくらいだろうか?
                        いや忘れられない「エマニエル夫人」。シルビア・クリステル。(wow!!)
                         中学ボーズのぼくにはキョーレツな映画だった。
      高校生の時オールナイトでポルノ映画も見たことがあります。
      はい、ごめんなさい。

      そんな青春の美しい思い出がいっぱい詰まった?
      パール劇場が今はいったいどうなっているのだろうか。
      直ちに調査せよ!
      そんなミッションを請けて潜入して来ました。
      もし、関係者の方が見ていたら、黙って入ってごめんなさい。
      でも、どうしても見たかったんです。好奇心だけですぅ。
                        えらい弱気なスパイですぅ。
                        良いこ、良いおとなのみなさんは絶対に真似をしないでくださいね。

                     

   パール劇場跡への行き方

       伊勢市駅から線路沿いに松阪方面(西方向)にどんどん歩きます。
            ↓
       やがてアーケードのある新道商店街に突き当たります。
           ↓
       一旦、商店街にはいってまた右に折れ、線路沿いの道に戻ります。
           ↓
       2‐3分歩くと線路の向こう側にツタに覆われた廃墟が見えてくるでしょう。
           ↓
                     良いこ、良いおとなのみなさんはここからの見学だけにしておきましょう。
                        ↓
                     周りはフェンスに囲まれていて入れません。
                     ぼくは職業柄(私立探偵)仕方なしに入りましたが。
       ↓
   中は昼間だと言うのに結構ブキミでこわいよー。
   調査をしているときは大してこわいと思わなかったけれど、
   後になって想像してみると、その想像力がこわさを醸し出してくるのです。
   でもよく考えてみれば
   アンコールワットやアユタヤなんかの遺跡と余り変わらない。
   ただ人が居なくなってしまってからの時間の経過が
   長いか短いかの違いだけです。
   ここはまだ人の痕跡がなまなましく残っているので、
                     そのなまなましさがこわさ、として認識されるのだろう。
                         ↓
                     でもそれよりも、中学生のぼくが再びよみがえる。
   ここで友達と二人で
   「エマニエル夫人」のチケットをドキドキしながら買っていると
   後ろから来たおっさんに「おっ、この映画中学生も見れるんか?」
   と冷やかされた。(エマニエル夫人は成人映画ではなかった。)

   かつて何人の人がここで映画を見たことだろう。
   昭和30年代~50年代に若者だった伊勢の人たちは
   かならず1度はこの界隈に立ち寄ったことがあるはずだ。
   ぼくたちが歳を重ねるに連れ忘れ去られる記憶の彼方に
                      ぽつんと残された廃墟。
                     失った日々をあざ笑うかのように夏の太陽が照りつけていた。
                     いや~、ちょっと気取りすぎかなぁ。まっ、たまにはいいやん。
                  
   ここは昭和の遺跡と言えよう。
   是非このまま保存してもらいたいものだ。
   駐車場とかになって欲しくない。
   無駄や効率だけを考えて建物や道路が造られていく中で
   こういう虚ろな場所も街に必要だと思う。

 

それから数年後パール劇場は更地になってしまいました。残念。

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