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2001・4・10 号
放浪家族*北海道編 PART1

2000年9月吉日
「シャンバラ10周年記念旅行に北海道に行こう!」
「よし、行こう、行こう」
「ハナイちゃん2週間ほど行ってきていい?」
「いいですよ〜」
ということで一瞬にして話しがまとまり、家族で北海道に行った時の話。

飛行機とレンタカーと高級旅館 カニイクラホタテシャケで北海道を回るつもりだったが
諸般の事情で 2等フェリーと10年物の乗用車カリーナEDと
キャンプ場 カニイクラホタテシャケトウキビジャガイモの旅行になった。
もちろん自炊よ。

名古屋から北海道苫小牧まで2日間フェリーに乗って
そのまま日高山脈を越え最初に泊まった町は帯広だった。
オレにとって帯広は思い出深い街だ。
20年前に何週間か帯広駅で寝泊りして
温泉掘ったり鉄筋曲げたり基礎工事したりのバイトして 旅費を稼いでいた。
帯広でいきなりキャンプと言うのはきついから どこかに泊まろうということになった。
でもホテルや民宿は高くて泊まれない。
しかし北海道にはライダーハウスという
ビンボー旅行なライダーのための簡易宿泊施設があった。
「安いし面白そうだから泊まってみよう」とうことになったが
果たして子連れっだったら断られるのではないかと 心配したりもした。
地図に載っていた「ヤドカリの家」という ライダーハウスに行ってみた。
古い鉄筋コンクリートの3階立てのアパートの前で
星条旗風の「ヤドカリの家」と言う看板のうしろに
大日本なんとか会という軍歌系の看板もあったりして ちょっとドキドキもしたが
庭でおじちゃんとおばちゃんは七輪で干物焼いて焼酎を飲んでいた。
いい人そうでよかった。
「すいません〜。3歳の子供連れてるんやけど泊めてもらえます?」
「うちは構わねぇけど、あんたたちの子供は耐えられるかネ。」 とかえって心配してくれた。
受付の掲示板には『ジャガイモ工場のアルバイト募集1日¥8000』 とかのバイト情報も書いてある。
1日¥8000やったら悪くないな。やろかな・・。とも一瞬考えた。
アパートの3階の一室3LDKに案内された。
もちろん個室な訳はない。が、ひとり一泊¥600安い!
でも時間が早かったのか誰もいなかった。
流し台とトイレはあるが 家具畳ふすまは全くなくいがらんどうの部屋で
安っぽい緑の汚れた薄いカーペットが敷いてあるだけだった。
かつてこの部屋の住人だった幼い子供の落書きを見て
この部屋の過去を想像してみたりした。

窓際の適当な所にキャンプマットしいて寝袋をひろげた。
以後続々とライダー達が集まりだして部屋は満杯になった。
みなさん静かで子供にもフレンドリーで快適に過ごすことができた。
しかしさすがはi-modeの時代だ。
夜になるとみなさん親指でメール書いている。
ぼくらもノートパソコンでメールチェック。
その夜は北海道上陸記念 ろばた焼きやでカニイクラホタテシャケトウキビジャガイモの大酒宴!
といっても酒のみはオレだけの1人勝ちであった。

翌朝は冷たい雨。 3階の窓から帯広の灰色の街が見える。
どうって事も無い無機質な風景だ。
屋根の下で目が覚めてよかった。
さて、きょうはどこへ行く? っと考えていると、
思わず幸せとほくそ笑みがじわじわこみ上げてきた。
これからしばらく きょうはどこへ行く?
ばかり考えて暮らせるのだ。