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*写真の人はオレではありません

宮川激流下りの旅 *part1*

普段は桔梗屋顔負けのあきんどを装っているが
もう一つのオレの顔はアウトドアズマンである。
なんか外回りの営業マンみたいだけれど
アウトドアの「ファイトー!1パーツ!」な男なわけよ。
今まで歩いて登った最高地点は標高5500Mのヒマラヤの峠だし、
三重県内の主要な山々はだいたい登った。
(いきなりスケールが小さくなるのは勘弁していただきたい。)

山はもうだいたい制覇したから(おいおい…) 次は川だ。
そして夏は川下りの季節でもある。
三重県の大台山系を源流としてわが町伊勢を縦断して
伊勢湾にそそぐ全長100KMの大河「宮川」。
数年前の環境庁の「全国の美しい河川」ベスト2に選ばれた川でもある。
ちなみにそのときのワースト2は奈良ー大阪を流れる大和川で、
ユキちゃんのふるさとの川でもある。
オレは宮川のほとりで生まれ、
小さい頃から夏は宮川での川遊びが日課であった。
そして1度はこの川を上流から下流に下ってみたい、 と言うのが宿願であった。

最近は宮川でもカヌーで下っている人たちをよく見かけるようになった。
しかしハードボイルドなオレには
カヌーなんてブルジョワのお坊ちゃまのお遊びはごめんだ。
いや、ホントのことを言うとカヌーを買う金もないし、置く場所もない。

15年前最初に下ったのはエビであった。
ほら、よくホームセンターとかおもちゃやに売っている
クジラとかワニとかの空気入れて膨らませる
海水浴グッズのエビバージョンである。
全長2メートル定価¥3980だった。
クジラは背中が丸いので長時間乗っているのは 安定が悪く疲れそうだが
エビはサーフボードのように背中がフラットになっていて 安定性もよく乗り心地は良かった。
しかしそのときは中流から下流、
具体的な場所で言うと
度会町の棚橋から伊勢市の度会橋までの約7KMを6時間かけて下った。
しかしさすがの清流宮川も下流の方になると
水も汚くなって流れもなく、ただ浮かんでいるだけでは進まないので
必死のパドリングで腕がちぎれそうだった。

終点の度会橋は交通量の多い橋で
たまたま友達がその橋を車でとおりかかったとき
赤い物に人が乗って上から流れてくるのを助手席から発見した。
最初はおぼれていて流されたのだと思ったらしいが よく見ると何か漕いでいる、
何だあいつは、と思って車を止めてジーッと見ていたら
だんだん近づいてくるのを見るとミキではないか!
「何やってんのあんた?」 「いや〜エビで川下り。」
「アホとちゃう?ギャハハハハハ (^O^)!」 と思い切り笑われた。
首尾よく僕は友達に救助され家までたどり着いたが
友達に会わなければ
ずぶぬれのままエビを抱えて町を歩いて家まで帰らねばならない所だった。
着いてからのことはまるで考えていなかった。
それから10年後、 暑い夏の日だった。
中下流はもう流れも遅いし、
もう少し流れの速い上流から下れば 快適にいけるのではないかと考えて
嫌がるユキちゃんを 「絶対気持ちがいいから」 と無理やり誘って出かけた。
それがあのようなことになるとは・・・。
あのときから運命の歯車は回りだしたのか?