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宮川激流下りの旅 part4

あの壮絶な、愛と悲しみの10万円の 川下りから3年の月日が流れた。
そしてまた暑い夏がやって来た。
ある日オレは決意した。
「もう女には頼らん!オレの力でやってのける。」
そして新しいアイテムを購入するため スキーのアルペン伊勢店に出かけた。
あれこれ迷って1時間後、 ボディーボード¥3980。 フィン¥3980。 を購入。
ここに日本初の淡水ボディーボーダーが誕生した。
エビから始まった川下りは とうとうボードにまで進化したのだ。
ボディーボ−ドとフィンにしたのは これが一番早く進むだろうと考えたからだ。
もう歩くのよりも遅いのはごめんである。
思えば今までナウい(死語)スポーツとは 無縁のオレであったが
ここに来てやっと 憧れのボーダーになれたことに密かに涙した。
方向性はややずれてはいるが。
家に帰って「何買ってきたと思う?」
大きな買い物バッグを後ろ手に隠して ユキちゃんに言うと 「えーなんかプレゼント?」 と期待に眼を輝かせる。
おずおずと袋から取り出して中のものを 見せると、
彼女の眼の輝きは急速に光を失い
蔑みと軽蔑と嘲笑の入り混じった眼に変わり
ため息混じりに「好きやなー」と一言。
「何でもええけどあたしに迷惑かけんといてな。」

翌日、天気曇り。気温摂氏30度。
今度のコースは大幅に距離を短縮して
家から3kmほど上流の度会町にある 宮リバー公園から流れて
家に一番近いところで上陸して歩いて帰ってくる。 という計画であった。
もちろん単独行である。
ボディーボードにフィンを装備したまでは良かったが
ジッパーの壊れた例のオレンジ色の救命胴衣を着て
腰にビーチサンダルを巻いて麦藁帽子をかぶると やっぱり田吾作スタイルになってしまう。
オゾン層破壊で紫外線が強くなってるこの頃 美白のためには麦藁帽子は欠かせない。
もちろんSPF20のmissA無添加日焼け止めもたっぷり塗って スキンケアもばっちりだ。

さてユキちゃんに見送られて出発。
これはよどんだ淵でも早く進むぞ。 なかなか出足好調だ。
しばらく下っていると 河原にヤンキーぽい若者が5‐6人。
こっちを見ている。 なんだかヤバイ雰囲気だ。
そのうち彼らは服を脱いでこっちの方に泳いでやって来た。
因縁つけられたらどうしよう・・。 カツ上げされたらどうしよう・・。¥300しか持ってないけど。
やや不安になってきた。
彼らとの距離がだんだん近づいてくる。
リーダー格の一人が言った。
「なにやってるんスか?」 敬語やでおい。
やはり上流から流れてくる長髪にピアスのおっさんは 只者ではないと思ったのだろう。
がぜんオレは優位な立場に立った。
こう言うときのオレは強い! 「川下りや!」
「気持ち良さそうス、ね。」
「気持ちいいよ!自分らもやってみな!」
「はい、今度やってみます。がんばって下さい」
「おう!じゃあな!」

こうして地元の若者と交流しながら
ゆっくり流れる誰もいない静かな川を
鳥をながめ空をながめ森をながめ 2時間余りで川下りは終わった。
最後はがけをよじ登り
我が村のタバコ畑のはしっこに出た。
フィンとボードを持ってオレンジの救命胴衣着て ずぶぬれで畑の中を歩いていたら
農作業の村人に不審な目で見られたが 無事歩いて帰ってきた。
川下りは短距離を優雅に快適に。 これが一番ですね。
さて今年の夏も下ります。 どうなったかまた報告します。